ゴルフのアドバイスには、使ってよい言葉、使ってはいけない言葉があります。
私たちが何気なく使っている言葉ですが、言葉は予想以上に強く人の記憶に残るものです。
私がこれまでにかけられた言葉のなかにも、いくつか印象に残っているものがあります。
その中でも、以前私がレッスンを受けていたコーチからかけてもらった言葉は、今でもはっきりと覚えています。
「今の君は、1953年に3勝したプロと同じようにスイングしているよ。」
皆さんお分かりですか!?
それは1953年にメジャー大会を3連勝したレジェンド。ベン・ホーガンのことです。
私がどれほど嬉しかったかは言うまでもありません。
また、友人のコーチはレッスンの時、何も言わずに彼の後ろで黙って見ていたそうです。
そしてレッスンが終わってからこんな風に声をかけました。
「私には君のスイングの欠陥が見つからない。自信をもってコースでプレーすればよい結果が出るはずだよ。」
その後コースに出ると、今までのスランプがウソのように60台でプレーできたそうです。
このように良い結果をもたらす言葉があるのとは反対に、悪い結果をもたらす言葉もあります。
私がオーストラリアにいた頃、エメットという将来有望なジュニアゴルファーがいました。
彼は自分でも「オーバーパーを打つ気がしない」と言い切るほどのプレーヤーで、実際いつもアンダーパーでラウンドしていました。
それほど飛距離が出るタイプではありませんが(とは言ってもその気になれば600ヤードのロングホールを2打で乗せてきましたが)アプローチ、パターが得意でデータ的にはツアーでもトップクラスの実力でした。
その彼が、日本の試合に出場し三重県のゴルフ場で練習ラウンドしていた時の出来事です。
ドライバーの調子が悪かったエメットに、親切心からアドバイスをしたチームメイトがいました。
「トップの位置がいつもと少し違っているよ。」
試合初日。プレーを終えた彼にチームメイトが声を掛けます。
チームメイト:「どうだった?」
エメット:「88」(記憶が曖昧ですが80台後半でした)
その日からエメットは80台でプレーすることすら出来なくなりました。
最終日にはオーストラリアから持って行っていたボールがなくなり、チームメイトに分けてもらったそうです。
日本のコース特有のOBが怖くなり、今まで通りのスイングが出来なくなったのです。
オーストラリアに戻った後も、彼の恐怖心は消えませんでした。
練習場では200メートル先の看板にボールを当てることができても、コースに出ると隣のホールのフェアウェイにしかボールが飛んでいかないのです。
それから数年後…
インドロピリーGC(以前、トラビスジョーンズの記事で書いたゴルフ場)で試合があった時の事。プレーを終えたエメットに声を掛けると
「今日は良かったよ。78だった。」
と言っていたのが忘れられません。
表彰式の後、ビールを飲み酔っ払ったエメットは同じ試合に出ていた仲間とハーフをプレーしに行きました。
ビールを飲んで酔っ払い、顔を真っ赤にしてプレーしたエメットは9ホールを2アンダーで回ってきたそうです。
また、私自身の経験としても忘れられない出来事があります。
現在、提携しているゴルフ練習場「極楽ジャンボリーゴルフ倶楽部」の横には、今から20年以上前は6Hのショートコースがあり、毎日のように練習していました。
その日も父の生徒さん達と勝負をしながらプレーしていたのですが、1人の生徒さんは調子が良く(記憶が正しければ)5H終えて3アンダー!
負けたくなかった私は、彼のペースを乱そうと(何気なく)一言だけ質問しました。
その一言に対して彼は自分の考えを話し、自信をもってその言葉通りにティーショットを打ちました。
しかし、そのショットはシャンクしてOB!
そして、打ち直しのショットもOBでした。
最終ホールで大崩れした彼は、ホールアウト後に言いました。
「マサにやられた!自分では意識していないつもりだったけれど、そのことに意識が行ってしまっていつものように打てなかった。」
このことからも分かるように、何気ないひと言がその人の自信につながることもあれば、その人のゴルフを崩してしまうこともあるのです。
私の聞いた質問とは何か!?
それは口が裂けても言いません!
何気ない【悪魔のささやき】であなたのゴルフライフを壊したくありませんからね。
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