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魚肉ソーセージ事件②



約200ヤード、打ち下ろしのパー3。

前の組が空くのを待っていると、突然…


『おいっ!ふざけんな!!みよっち(私のこと)、これ見てよ!このボール触ってみ!!』


何事かと思いボールを受け取ると、ボールは油でべたべた!


スコット:『朝からなんか滑ると思ってたんだけど、こいつ(キャディー)の食ってる魚肉ソーセージが油まみれで、その手で俺のクラブ触るから!見てよ、これ!!シャフトもコガネムシみたいに虹色じゃんかー!!!』


私:『(ただでさえ緊張と暑さで手に汗をかいているのに)油まみれのグリップじゃあ、そりゃ滑るわなー』


スコット:『笑い事じゃないって!こっちは1年かかってるんだから!!』


確かに本人にとっては笑い事ではないでしょうが、私にとっては漫才としか思えません。

そして一生懸命タオルでグリップを拭くスコットにさらなる悲劇が…


スコット:『こいつ信じられん!俺のタオルで手を拭いてやがる。タオルも油だらけじゃん。みよっち、ごめんタオル貸してくれる?』


絶対嫌です!!(゚Д゚;)


人のキャディーのせいで私のタオルを油まみれにされてはかないません!!

すると私のキャディー(ものすごく優秀なキャディーでした)が、自分の予備のタオルを差し出します。やはりできる人は違います!


すると、そのタオルをキャディーが受け取ろうとしたことにスコットがまた激怒!


スコット:『お前が先に手を拭いたら、また油まみれじゃねぇか!』


やらかすキャディーはとことんやらかします。


そうこうしているうちにグリーンが空き、自分たちの番に。

そんな状況でまともに球を打てるはずもなく、2人はまたピンチを迎えます。


優秀な私のキャディーは、ここで水を渡します。『落ち着いて』というサインです。


やらかすキャディーも真似をして水を渡します。

もちろん油でベタベタです。

スコットもいつもの癖で受け取ります。

そして激怒します。

ここまでくると、もう吉本新喜劇を超えています。


集中力の切れた私はそのホールを3パットのボギー!

スコットは何とかパーで耐えしのぎます。


流れが悪いと感じた私に余裕は無くなり、もう人のことは構っていられません。

つまらないボギーがきっかけとなりボギートレインに乗ってしまうのは、競技に出ているゴルファーは誰もが経験しています。


その後、数ホールを必死に耐え、やってきた最終ホール。

過去の経験からカットラインの予想はついています。

無事にパーでホールアウトした私はほぼ通過確定。残るはスコットのパットを残すのみ!


下りの2m弱。弱ければ切れる微妙なラインなのでしっかり打つしかないのですが、強めに打って外れたら1m以上の返しのパットを覚悟しなければならない難しい状況。芝目の強いグリーンなので、保険をかけてタッチを合わせたら入るかどうかは運次第。


自分のプレーが終わり緊張から解放されると冷静に状況が判断できるものです。

これは重要なパット!入れば通過、外せば圏外。

予選会とは1打で明暗が分かれるシビアな状況なのです。

祈るしかない状況で、いつも通りのルーティーンでストロークを始めたスコット。

それは私のゴルフ人生に残る素晴らしい1打でした!


そんなハプニングがありながらも、2人で1年間戦えたのは今でもいい思い出です。


(真ん中がスコット・サンドー、右が私です)

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